私たちのライフスタイルだけでなく、ビジネスシーンにおいてもUXデザインの重要性が高まっているものの、体現することは難しいと頭を悩ませるカスタマーサポート部門の方などの関係者も多いだろう。
対象のユーザーにとって「嬉しい」や「楽しい」などのプラス体験を提供する一連の活動や要素を構築するのがUXデザインの目的だ。
しかし、具体的にどういうプロセスでどういった手法でどういった成果が得られるのか?というロジックが理解できていないからだと感じる。
今回は、UXデザインプロセスの基本的な6つのステップを紐解いて解説。それぞれのプロセスが必要な理由とそれぞれの手法をご紹介しよう。
知っているよう知らないUXデザインのプロセス
対象のユーザーに向けて優れた体験を提供するには、質の高いUXデザインが必要だ。「質の高いUXデザイン」にはしっかりとプロセスが重要になってくのだが、知っているようで知られていない。
それは、「これを学べばOK!」「この通りプロセスを踏めば優れたUXを生み出せる!」といった確固たる方法がないからだ。
理由としては、多種多様なユーザーのライフスタイルとビジネスが複雑に入り組んでいるためであり、飲食店の売り上げを伸ばすための施策とECサイトの売り上げを伸ばすための施策が全く異なるのは容易に想像できる。
ターゲットユーザーによってもアプローチが変わるため、TPOに合わせて柔軟に対応しなければならない。
そのためにはUXデザインのプロセスと手法や成果物を充分に理解する必要がある。
事項ではUXデザインの6つのプロセスと手法を紹介していこう。
UXデザインにおける6つのプロセス
Step.1 – 理解: Understand
「理解」と表現されているが、このプロセスでは『ユーザー』と『ステークホルダー』について理解しなければならない。プロジェクト立ち上げて直ぐにとりかかることになるだろう。
なぜ「理解」する必要があるのか?答えは単純だ。
【プロセス「理解」が必要な理由】
その①:ユーザーに「嬉しい」「楽しい」体験を提供するためには、相手を知る必要があるから
→例えば、あなたに恋人がいたとして、誕生日に美味しい食事をご馳走したいとするなら、あなたは恋人の好き嫌いを気にせずレストランを予約するだろうか?
その②:クライアントから既存ビジネスの改善・向上を依頼された場合、依頼主とビジネスゴールを決める必要があるため
→クライアントから「ECサイトの売り上げをあげてほしい」「サイトの訪問者を増やしてほしい」と依頼があったとしたら、「前年比で〇〇%アップしたい」「サイトのpv数を1,000から10,000にしたい」など具体的な数値目標や達成するまでの期間など明確なゴールを設定すれば、戦略的に進めることができるだろう
【代表的な手法】
★定性調査
- ユーザーインタビュー
- ステークホルダーインタビュー
- デプスインタビュー
★定量調査
- アンケート調査(インターネット、電話、郵送)
★マーケティング調査
- 競合分析(マーケティング戦略)
- 市場調査
Step.2 – 共感
「共感」とはターゲットユーザーが何を考え、感じ、悩んでいるのか?をデザインする側が理解するプロセスである。
また、既存ビジネスの場合であれば、その企業やブランドに対してユーザー側から見て「どのようなイメージを持っているか?」ということも合わせて知る必要がある。
さらにプロジェクトチーム内のエンジニア、デザイナー、マーケター、HRの方々と「共感」を共有できるようにカスタマージャーニーマップやエンパシーマップなどの手法を用いてユーザーの行動や思考を可視化し「共有」し合うことも重要な要素だ。
【プロセス「共感」が必要な理由】
共感を基に、気づきを得てデザインされた好例をご紹介しよう。
日清食品が販売している、インスタントヌードルをお椀で食べる「お椀で食べるシリーズ」というのがある。(https://www.nissin.com/jp/products/series/owan/)
SNSなどで話題になり、売り上げも好調という同商品の開発に至った経緯はユーザーへの共感が大きな理由だ。
マーケティング調査により、小世帯のシニア層をターゲットにした商品開発をスタート。その後、ユーザー調査を経てインスタント食品は簡単・時短・便利ではあるが、食卓に並べるには「手抜きしている」などの罪悪感があるためと突き止めた。
その後、どうすれば「罪悪感」を感じずに食卓に並べられるのか?ということを考えた結果、惣菜を小鉢に移し替えて食卓に並べる習慣があることに気づき、今のインスタント食品をお椀に入れて食べられるデザインを完成させた。
これは、ユーザーが感じる悩み・願望に共感した結果生まれた「優れたUXデザイン」の好例だろう。
【代表的な手法】
- ペルソナ
- カスタマージャーニーマップ
- エンパシーマップ
- 価値マップ(ペルソナなどでターゲットとするユーザーが決まったら行うことが多い)
Step.3 – 創造
「創造」では「理解」、「共感」などの体験価値に基づいてユーザーの本質的なニーズを満たすアイデア発想を行う。
アイデア発想にはユーザー視点だけではなく、ビジネス視点も取り入れることが重要だ。
最もクリエイティブな要素が多いプロセスで、ユーザーの行動・心理や市場状況や競合調査を絡めた分析をしっかりと行い、チーム内で確認しながら段階的に発想していくことになる。
【プロセス「創造」が必要な理由】
様々なアイデアを出し合い、収束させていくことで実現したいユーザー体験を視覚化させ、プロトタイプに繋げるためである。
【代表的な手法】
- ブレインストーミング
- バリュープロポジションマッピング
- アクティビティシナリオ
- UXDコンセプトシート
- ストーリーボード
Step.4 – プロトタイプ
「創造」で視覚化されたユーザー体験をサービスや製品に落とし込んでいくのが「プロトタイプ」だ。
チーム内でプロトタイプの問題や不足がないか?などのフィードバックを行い、ブラッシュアップしていく。
【プロセス「プロトタイプ」が必要な理由】
無駄なコストをかけずに済み、チーム内でフィードバックを行うことで目標とするユーザー体験の精度やデザインの仕様を明確にすることができる。
【代表的な手法】
- ペーパープロトタイプ
- ワイヤーフレーム
- モックアップ作成
- ロールプレイ
Step.5 – テスト
「プロトタイプ」で試作されたサービスや製品をユーザーに試してもらうのが「テスト」だ。ユーザー以外に、有識者(専門家)などにテストしてもらうことも多々ある。
UXデザインにおいては最終段階ではあるが、問題点や改善箇所が見つかれば修正していく。必要であれば初期段階の「理解」「共感」までプロセスを遡ることもある。
【プロセス「テスト」が必要な理由】
ターゲットユーザーに向けた「ユーザー体験」が計画通り提供できたかどうか?を確かめるため。計画的に行かなかった場合、テスト結果を基にプロダクトの修正・改善していく必要がある。
【代表的な手法】
- ユーザビリティテスト
- ユーザーテスト
- ヒューリスティック評価
- アクセシビリティ評価
Step.6 –計測・分析
「テスト」結果を踏まえて、プロダクトをリリースした後もユーザーや市場の反応を伺い、数字的なデーターを計測し、さらなる体験価値のために分析しながら磨き上げていくことが重要だ!
【プロセス「計測・分析」が必要な理由】
「計測・分析」を行うことでさらなる体験価値を高めるための改善点の抽出やバージョンアップするための開発材料になる。
【代表的な手法】
- アクセスログ解析の数字的データーの把握(定量調査)
- ユーザーインタビューなどによるフィードバック(定性調査)
- A/Bテスト
まとめ
今回はUXデザインにおける6つのプロセスについて解説した。
UXデザインを行う上で最も大切なのは、体験価値を高めていくことにある。そのためにはターゲットユーザーの属性を把握・理解し、プロダクトをリリースした後も常にユーザーの反応をしっかり伺うことが重要だ。
さらに、1度このサイクルを回せばOKということではなく、常に時流や人々の行動が変化する世の中であるため、継続的に続けることが大切である。
【この記事を読んだ人は、こちらの記事も読んでいます】