UXデザインとは?すべてのビジネスマンが正しく理解すべき全知識

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UXデザインは多くの場合において、誤解されている。

小難しい概念でもなければ、デザイナーのためのものでもない。

そもそもUXデザインという言葉自体が誤解を招いていると考えているため、用語の説明から行っていきたい。

1. UXデザインはデザイナーだけのためのものではない

言葉からひも解く『UXデザイン』

まずは、UXデザインという言葉を、『UX』と『デザイン』に分解してみよう。

UX』とは、サービスをつかうコトによって「嬉しかった!」、「使って良かったぁ!」とか「めっちゃ便利だった!」という一連の体験であり、感情だ。

UXについては、『UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?UXを正しく理解するための全知識【保存版】』にて詳しく解説しているため既に知っているものとして話をすすめる。

『デザイン』とは『設計する』という意味だ。

『グラフィックデザイン』のようなイメージや、『Photoshop』や『Illustrator』を駆使する人という誤ったイメージは忘れ去ってほしい。

ここで改めて、『UX』と『デザイン』という言葉を組み合わせてみると、以下のようになる。

UXデザインとは、特定のユーザーの体験がより良い体験(UX)となるように設計(Design)するということだ。

サービス業などであれば、ユーザー体験をより良くするために接客の質をあげるというような、カタチにならないサービスもUXデザインの領域であり、施策の一つとなりうるということだ。

サービスをより良くすることであり、事業の根幹にかかわることであるから、デザイナーだけの仕事ではないということはご理解いただけただろう。

UXデザインは経営者、営業、エンジニア、カスタマーサポートなど組織に所属する全員が取り組むべきことなのだ。

2. UXデザインとは

UXデザインがUXデザイナーのみによって行われるプロセスや技術ではなく、製品やサービス、経営の意思決定において重要な役割を果たすものであるということを説明してきた。

それでは何故、現代においてUXデザインが重要視されているのだろうか?

その背景から説明していきたい。

UXデザインが必要とされる背景

分かりやすく理解してもらうために、この記事(コンテンツ)を事例として取り上げてみよう。

仮にこのコンテンツを100円で販売するとしたら、このコンテンツは私たちが執筆し”記事を公開した時点”で、既にコモディティと化する運命にある。

例えば、このコンテンツの文章や画像をすべてコピーしてしまえば、すぐに同じコンテンツを作成することが可能ということだ。

いきなりすべてコピーされるようなことは無いかもしれないが、中長期で捉えるとコンテンツによる差別化は不可能だ。

そして、残念なことに、これはほぼすべてのサービス、製品においても当てはまる。

UXの観点からコンテンツの差別化競争から脱却した代表的な事例としてスターバックスが取り上げられることが多いので、ここでも取り上げたい。

スターバックスのUX事例

スターバックスは誰もが知る世界的コーヒーチェーンだ。

当たり前のことだが、コーヒー店はコーヒーの味、品質に強いこだわりを持っている

まずは、有名コーヒーチェーンの『ドトール』の企業理念を確認してみよう。

ドトール ミッション

https://www.doutor.co.jp/about_us/company/identity.html

『おいしいコーヒー』という部分に、コーヒーへのこだわりが込められている。

まさに、コーヒーショップの企業理念と言えるだろう。

一方で、スターバックスのミッションには『美味しい』という言葉が一切使われていない。

すべてのお客様へ最高のスターバックス体験(感動体験)を提供できるよう、行動指針を定め、日々体現しています。http://www.starbucks.co.jp/company/mission.html

つまり、スターバックスは一杯のコーヒーを通じて、『内装やカップ、机や椅子、店員の接客に至るすべてのサービスによって、スターバックス体験(感動体験)を提供している』というのだ。

ここに大きな違いがある。

ドトールの『おいしいコーヒー』は、材料さえ揃えば誰でも真似出来てしまうコモディティだが、スターバックス体験を提供できるのはスターバックスだけだ(あくまで理論上の話だが)。

UXデザインを取り入れる

それでは、この記事をUXデザインの観点で捉えるとどうなるか、再び一緒に考えてみよう。

もちろん、この問いに答えはないし、これから紹介するUXデザインの『プロセス』は踏まえていない。

この記事は新卒の外資系コンサルタントが「UXデザインって何?」となったときに、「完全に理解できたわけではないけど、なんとなく腹落ちできた!」「読んで良かった!」となるように設計されている。(かなりざっくりとしたペルソナを用意している。)

そこで、以下のようなことを考えながら記事を執筆することで、より良いユーザー体験を目指すことができないだろうか?

<前提>

「UXって何?」という新卒コンサルタントに対して、どうすればより「UXデザインの記事を読んでよかった!」という体験を提供できるのだろうか?

<検討すべきこと>

『学術上誤りがなく、完全な記事を書く』ということに重きを置くのではなく、記事を通じて、『完璧ではないが、よく理解できた!』というUX JUMP体験を提供する』ことにフォーカスする。

これだけでも良い記事に仕上がるとは思うが、結論から言うと、『完璧ではないが、よく理解できた!』という記事自体すら、どれだけ一生懸命書いてもコモディティ化してしまうと考えている。

そこで、より良い体験を提供していくための仕組みとして、この記事を執筆するチームが経験豊富であること、また、それによって多くの(PDCAを回せる)体制こそが重要であると考えた。

Googleでは、「高品質なコンテンツの定義は『E-A-T』である」と表明している。

  • Expertise(専門性)
  • Authoritativeness(権威性)
  • Trustworthiness(信頼性)

つまり、『誰が書いたのか?』ということが、最終的に読者にとってより良い体験を与えるということだ。

極端な話、名言一つをとってもそうだ。偉人による名言を偶然、犯罪者が言ったとしても誰も耳を傾けないのと同じことだ。

UX JUMPは元Goodpatchデザイナー(人間中心設計(HCD)の資格保有者)をはじめとして、一流のマーケッター、ITに強い外資系コンサルタントが中心となって立ち上げたメディアだ。

仮にコンテンツをコピーされたとしても、特に専門性、権威性、信頼性という面を向上させていくことで、他の記事には真似できない体験を長期的に追求したいと考えている。

ちょっと長くなってしまったが、これまで見てきたように、UXデザインは、必ずしも決められた手順を踏まえなければいけないわけではない。

たとえばこの記事を読んでいる方のことを考えたり、感想を聞かせてもらったり、理解して記事を追加・修正していくという行為を繰り返していくだけでも立派なUXデザインだ。

ユーザーのことを考え、ユーザーを中心に改良・改善を繰り返していくことを、組織に所属する全員が意識する。

この意識は言葉で説明する以上に理解されることが難しいからこそ、UXデザインの科学的なプロセスが発達したのだ。

3. UXデザインと他のプロセスの違い

UXデザインのプロセスを説明する前に、通常のものづくりの発想との大きな違いを知っておく必要がある。

これまでの製品・サービス設計は、素材や技術、機能などを中心とした作り手(企業)を中心としたものだった。

一方でUXデザインにおいては、作り手(企業)が、製品・サービスによってもたらされるユーザーの体験を設計するという意識を持たなければならない。

これから紹介していくUXデザインのプロセスは、作り手の機能や技術などが中心ではなく、ユーザー(体験)と製品・サービスの設計が中心となっていることに注意してほしい。

4. UXデザインのプロセス

UXデザインをビジネスで活用する際には、大きく6つのプロセスに分解することが出来る。

※新規プロダクト・既存プロダクトのいずれにおいてもプロセスは変わらない。

  1. プロジェクトチームの組成
  2. ユーザーの調査・分析
  3. コンセプトデザインの作成
  4. プロトタイプの作成
  5. プロトタイプの評価・改良を繰り返す
  6. 意思決定・プロダクトの提供

UXデザインのプロセスで最も重要なことは、『1で組成したプロジェクトメンバーが2~5のプロセスをぐるぐる回していく』ということだ。

一つずつのプロセスのポイントを紹介していこう。

1. プロジェクトチームの組成

UXプロジェクトチームの結成

まずはじめに、UXデザインを行うチームを作るところから始めよう。

デザイナー、ディレクターの2名で始めることがミニマムの単位だ。可能であれば、経営者、エンジニアなどもいることが望ましい。

とはいえ、これまで何度もUXデザインを行ってきた経験上、プロジェクトチームの人員は最大6名程度にしておくことが理想的だ。

UXプロジェクトの情報共有・方針を決定

UXデザインを始める準備が出来たら、あらかじめプロジェクトの進め方(プロセス2~6)・スケジュールを共有しておこう。

特に、初めてUXデザインのプロセスに入る人がいる場合は注意が必要だ。簡単でよいので、UXがどのようなものか、説明しておくとよい。その際には、『UXとは?UXを正しく理解するための全知識【保存版】』を一読してもらえると幸いだ。

企業のビジョンや戦略に照らし合わせ、ざっくりで構わないが、どのようなユーザー体験を提供していきたいか(ゴールイメージ)をすり合わせ、必要に応じてデータ収集などを行い、資料化しておく

外部にUXデザインを依頼する場合は、この時点で経営層や意思決定者へのインタビューが行われる。

それは、その企業が目指すビジョンや戦略、プロダクトへの理解を深めるためだ。

企業内部にてUXデザインを行う際にも、インタビューのプロセスは省かないことが重要だ。

to do

  • UXプロジェクトチームの組成
  • デザイン対象の定義
  • 調査情報の記録

2. ユーザーの調査・分析

これからUXデザインの具体的なプロセスに入っていく。

まずは、対象となるユーザーを特定すること、デザインの対象となるユーザーの行為を設定することが重要だ。

例えば、この記事のユーザーを特定するにあたって、『製品・サービスがどのような人に利用されているのか?』『企業として、どのような人にサービスを提供したいのか?』といったことを決める必要がある。

はじめのうちは、対象となるユーザーや、ユーザーの行為を広く設定しておくことをおすすめする。

対象となるユーザーや、ユーザーの行為を特定したら、定性的・定量的な調査を行っていくことになるが、ここで最も力を入れるべきなのはユーザーインタビューだ。

ユーザーのリアルな感情・体験はインタビューなどの定性調査でしかわからないことが多いので、特に、デプスインタビューと呼ばれる、1対1の面談式インタビューを必ず行うようにしたい。

定量調査

  • アンケート
  • アクセスログなどの解析

定性調査

  • インタビュー
  • 行動観察

3. ユーザーモデリングの作成

定量・定性調査にもとづき、ユーザーモデルを作成していく。

このプロセスで一番重要なポイントは、調査に基づいたデータを元に設計していくことであり、バイアスがかからないように初めに確認した企業戦略などは一切抜きに話を進めることだ。

to do

  • ペルソナ設計
  • ジャーニーマップの作成
  • サービスブループリントの作成

4. ユーザー体験設計

ペルソナやジャーニーマップを元に、見えそうで見えてこないユーザーニーズをより鮮明にするため、ユーザーの要求とビジネス視点からサービスを通じて与えたい体験をぶつけ合いながら、ユーザーが理想とする体験を設計していく。

to do

  • バリュープロポジションマップの作成
  • ビジネスモデル・キャンパスの作成
  • ユーザーニーズ定義ストーリーボードの作成

5. プロトタイプの評価・改良を繰り返す

仮説立てした体験から導き出したプロダクト要件をもとに、ユーザーニーズを満たすためのプロダクト設計と実装を行う。プロダクトを実際に形にすることがこのステップの目的だ。

サービス提供者側がまだ未完成だと判断したとしても、最終意思決定者がユーザーであることは忘れてはならない。そのためプロトタイプを作り上げるスピードが最も重要な要素だ。

ユーザーにプロトタイプを何度も何度も試してもらいながら、ユーザーが理想とする体験を設計していく。

to do

  • プロダクト要件からプロダクトを設計
  • プロダクトを実装

さらに、このステップで最も重要な実装したサービスを「実際に消費者に体感してもらい」、その反応をもとに、サービスの目的が達成されるか?ユーザーの満足度は十分か?を判断する。

そこで、プロダクトに変更が必要か、現状のままプロダクトを提供して大丈夫かを判断することがこのステップの目的になる。

to do

  • ユーザーテスト
  • アクセス解析
  • インタビュー調査

【消費者の反応を得る】

消費者がプロダクトに対して、想定通りの反応をするかどうかを確認するために、実装したプロダクトを消費者に体感してもらう。プロダクトをどのようにして消費者に体感してもらうかは、プロダクトの特性や実装したプロダクトの状態によって選定していく。

※特定の型のようなものはない。

6.各ステップへの戻り方

1度のサイクルでユーザーニーズを満たすことは非常に稀だ。

そのため、ユーザーの反応を集めた上で、どんどん上記のサイクルをスピード感を持って回してみよう。少しづつだがユーザーのニーズを満たすサービスに近づいているだろう。

  • ターゲットとする欲求や価値の的が外れていた場合:ステップ2へ
  • ユーザー体験の設計やプロダクト要件の的が外れていた場合:ステップ3へ
  • 要件を満たすための設計が的を外れていた場合:ステップ4へ

これらのサイクルを回して、問題がないということになれば、GOサインが出てユーザーにお披露目されることになる。

5. まとめ

UXデザインがデザイナーだけでなく、経営者、営業、エンジニア、カスタマーサポートなど組織に所属する全員が取り組むべきことであると繰り返してきた。

すべての商品・サービスがコモディティ化サイクルが短くなる中で、UXデザインのプロセスをいかに早く、レベルの高いものにしていくことができるかが組織にとってきわめて重要な要素になる。

一人でも多くのビジネスマンにこの記事が読まれることで、理解を深めていただければ幸いだ。

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